甘い甘~いトマトで生活習慣病を美味しく予防
野菜の中でも糖度が高く、ビタミンA、Cを豊富に含んでいるのがトマト。このトマトの赤い色素であるリコピンには、高い抗酸化作用があり、生活習慣病の改善を促すとして注目を集めていることはご存知ですね。リコピンは老化や生活習慣病の原因となる活性酸素を取り除く働きをしますが、ニンジンやカボチャ、ブロッコリーなどに含まれるβカロテンよりも作用が強いという報告まであり、さらに比較的熱に強いため、トマトソースにすると美味しく摂れて、体内への吸収がアップできるため一石二鳥です。また、トマトにはカリウムが多く含まれていて、利尿作用から余分なナトリウムの排泄を促し、血圧を下げる効果があり高血圧の予防にも役立ちます。このうれしい作用を持つトマトを、さらに甘く美味しく栽培するために水分コントロールが不可欠ですが、非常に難しく、人気のフルーツトマトを栽培するには長年の経験と勘が必要だと言われています。そこで、近年俄然注目されているのがフィルムを用いて水分コントロールを行う「フィルム農法」。比較的、農業ビギナーでも簡単に甘くて高栄養価のトマトを栽培することができるという驚きの農法です。
スィートなトマトを作る秘密兵器は特殊な「フィルム」
この栽培法に使用されるフィルムは、養液(水と養分)を吸収する特殊なもの。作物がこのフィルムに吸収された養液を吸うために、根がフィルムに張り付きます。さらに養液を吸収するためにトマト内で大量な糖分やアミノ酸が必要なため、栄養価が高く、甘~いトマトが成長するのです。このフィルムにはナノサイズの小さな孔が開いており、水と肥料のみを通過させ雑菌は通過させないように調整されていて、雑菌、ウイルスなどを通さないため、水が汚れて腐ってもトマトは病気になりません。さらにフィルム栽培において、様々な研究から糖度やリコピン、ギャバなどの各種栄養価が他の栽培方法と比べて格段に高いという結果が出ていますが、その理由は「植物の必死さ」にあると言われています。フィルムはハイドロゲルで紙おむつのように水を吸収し、外部には放出はしないため植物が生えている表面はカラカラに乾燥しており、そこで植物は膨大な量の毛細根を発生させなければならず。フィルムの表面に必死に張り付いてフィルム中の水分と栄養分を効率良く吸収しようと頑張ります。これが、甘く栄養価の高いトマト誕生のメカニズムです。
中東や中国でもフルーツトマト栽培が可能に
フィルム栽培は土壌や水のない場所でも行え、設備も簡素ですむため水耕栽培に比べてグンと費用が抑えられます。また、土台となる土壌づくりの必要がないため、初めて農業に携わる人も簡単に導入しやすいというメリットがあります。フィルム農法では、トマト外にレタス、メロン、キュウリ、イチゴなど様々な野菜を生産することができますが、最も人気の高いものが、フルーツトマトと呼ばれる甘いトマト。これまで栽培が難しく、安定生産ができなかった野菜ですが、フィルムを使うことによって誰でも安定してフルーツトマトを生産できるようになりました。今では女性だけでトマト栽培を始め、「美容トマト」として生鮮トマト以外にジュースやジャムに加工し販売している企業まで登場しています。
参考:日本生活習慣病予防協会 トマトが中性脂肪やコレステロールを低下 日本生活習慣病予防協会
参考:AGRI JOURNAL アイメック農法でトマトがより甘くなるってホント!? AGRI JOURNAL