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深刻な“孤食問題”を今こそ真剣に考える

深刻な“孤食問題”を今こそ真剣に考える

近年一人暮らしの高齢者の増加が著しく、内閣府による「平成28年度版高齢社会白書」にでは、1980年には男性約19万人、女性約69万人でしたが、30年後の2010年には男性が約139万人、女性約341万人と次第に激増しているのです。さらに、65歳以上の高齢者人口に占める単身世帯の割合で見た場合は、1980年は男性4.3%、女性11.2%ですが、2010年は男性11.1%、女性20.3%となりました。このように単身世帯の高齢者が増えると、一人で食事をする“孤食”を招きます。2030年には高齢者単身世帯は700万人以上になると考えられているため、さらに深刻になることが予想されます。肉体だけでなく心の健康にも影響を及ぼす“孤食問題”。ロボットやITツールを使ったコミュニケーション技術による解決策が話題を呼んでおり、離れて暮らす高齢の肉親と、子どもや孫たちが多種多様なネットワークを利用して食事を一緒にする「遠隔共食」。日本テレビの番組『孤食ロボット』等に見られるCGキャラクターたちが視聴者と食事をする「疑似共食」など、一緒に食事をする楽しみを実現するためのシステムの開発が進んでいます。

食卓は「モノを食べる場」だけではない

家族と一緒に食べることは、一人で食べるよりどのような良い点があると思うか3つ選んでもらう調査を内閣府が行ったところ、「家族とのコミュニケーションを図ることができる」が最も多く81.1%、次いで「楽しく食べることができる」が66.2%と特に多くなりました。ここから見えるのが、家族で食卓を囲む目的は、単に栄養をとるためだけではないという結論です。それぞれその日の出来事を話し合うためのコミュニケーションの場としての食卓が重要です。さらに、家族や仲間と一緒に食べると、食事のマナーや料理についての関心が高くなる、いろいろな栄養が吸収しやすく、楽しく食べることができます。できるだけ家族や仲間で一緒に食事をとる機会を増やしていくことが理想ですが、幼児期や学童期の子どもの食事環境については、発達心理学や栄養の観点から、心身への影響が大きいことがわかっています。高齢者の孤食においても、低栄養や栄養バランスが崩れる等の心身への影響をテーマにした研究が進んでいて、食事とは健康のために栄養を摂取すると言うことだけでなく、コミュニケーションの場として重要な役割を担うもので、“孤食問題”はQOL(生活の質)への影響も実に大きいのです。

ツールの活用で食事時間を無理なく合わせる

食卓にタブレット端末(iPad)を設置し、ビデオ通話で離れた家族が一緒に食事できるFaceTimeというアプリを使って、互いの様子を見ながら食事ができるようなシステムが構築されました。親世帯と子ども世帯がタブレットを通してお互いの顔を見ながら、定期的に会話や食事を楽しむという「遠隔共食」の実験で、同じテーブルにつかなくても、一緒に食事をすることでQOLが十分に改善することがわかりました。ただし手軽なツールを活用しているとはいえ、生活リズムの異なる2つの世帯が時間を合わせることの難しさが残ります。高齢者側からは子どもや孫の顔が見られて好評ですが、若い世代は高齢者の食事時間に合わせて早めに準備をしなければいけない負担が大きいのです。こうした問題意識から、近年、IoT技術を活用して、生活パターンを変えずに無理をせず時間を共有する仕組みが検討されています。

参考:未来コトハジメ コミュニケーション技術で“孤食”問題を解決「食事を共にする楽しみ」をいつでも演出 未来コトハジメ
参考:農林水産省「孤食」や「個食」が増えている 農林水産省

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