筋肉維持しながら、無理なく体重を減らすには?―クリルオイルの新しい可能性

最近は、健康のために体重を落とそうと意識する方が増えています。
ところが、体重が減るときには脂肪だけでなく、筋肉や骨、内臓などの「脂肪ではない組織」も一緒に減ってしまうことが少なくありません。
とくに筋肉が減ると、力が入りにくくなったり、動作がしづらくなったりして、日常の暮らしに影響が出てくることもあります。 そんななかで、魚に多く含まれるEPAやDHAといったn-3系脂肪酸が、筋肉の維持に良い影響を与える可能性があるといわれています。
これまでの研究では、カロリー制限をしていないときにこれらの脂肪酸を摂ることで、脂肪が減るだけでなく、筋肉の量や力が保たれやすいという報告がありました。
——では、ダイエット中にこれらの脂肪酸を摂ったらどうなるのでしょうか。
この疑問に答えるため、ある研究チームが行ったのが「隔日断食(1日おきに食事量を大幅に減らす方法)」とクリルオイルを組み合わせた臨床試験です。
参加したのは、やや太り気味〜肥満の健康な男女41名。彼らはランダムに2つのグループに分けられ、ひとつはクリルオイル、もうひとつは偽のサプリメント(プラセボ)を毎日摂取しながら、交互に断食と通常食を繰り返す生活を8週間続けました。
——結果はどうなった??
どちらのグループでも体重と体脂肪が有意に減少し、筋肉量もわずかに減っていましたが、これらの数値に明確な差はありませんでした。
ところが、筋力や体の動作に関しては違いが見られました。
プラセボのグループでは握力が低下していたのに対し、クリルオイルを摂っていたグループでは握力の変化がほとんどなく、さらに椅子から立ち上がる動作のスピードが改善されていたのです。
このことから、「体重は減らしたいけれど、筋力は保ちたい!」と考える方にとって、クリルオイルの摂取が役立つ可能性があることが示されました。
無理のない方法で、体の内側から整える――。
こうした新しいアプローチも、これからの健康づくりの一つとして注目されそうです。
この記事はリンク先の文献を元に作成しています。
「The effect of LCn-3 PUFA supplementation on body weight, body composition, and muscle function during alternate-day fasting (ADF)」
Proceedings of the Nutrition Society (2024), 83 (OCE2), E216