この研究は、うつ病(MDD:大うつ病性障害)と診断された人に対して、クリルオイルと魚油がどのような影響を与えるのかを調べたものです。特に、気分の症状だけでなく、血糖値やコレステロールなどの体の代謝状態にも変化があるかを比較しました。
研究には57人の成人が参加し、クリルオイル(EPA+DHAを520mg)、魚油(EPA+DHAを600mg)、またはプラセボ(大豆油)のいずれかを8週間毎日摂取しました。うつ症状の程度は「ハミルトンうつ評価尺度(HDRS)」などの検査で、開始前・4週間後・8週間後に評価されました。また、血液検査で血糖値やHbA1c、コレステロール、中性脂肪なども測定しました。
最終的に50人が研究を完了しました。その結果、クリルオイルを摂ったグループと魚油を摂ったグループは、プラセボを摂ったグループに比べて、うつ症状が明らかに改善していました。つまり、気分の落ち込みが軽くなる効果が確認されたということです。不安やストレスのスコアも、クリルオイルと魚油の両グループで改善がみられました。
さらに体のデータを見ると、クリルオイルと魚油の摂取によって善玉コレステロール(HDLコレステロール)が増える傾向がありました。特にHDLの変化については、プラセボと比べてはっきりとした差が認められました。また、クリルオイルを摂った人では、HbA1c(過去1~2か月の血糖状態を示す指標)や中性脂肪が下がるという変化も見られました。
まとめると、クリルオイルも魚油も、うつ病の治療をサポートする補助的な方法として役立つ可能性がある、という結果でした。ただし、クリルオイルの方が魚油よりも明らかに優れている、あるいはその逆である、という決定的な差は確認されませんでした。つまり、どちらも一定の効果は期待できるものの、どちらが一番良いとまでは言えない、という結論です。
専門的な研究ではありますが、簡単に言えば「オメガ3脂肪酸を含む油を続けて摂ることで、気分の改善や体の代謝面に良い影響が出る可能性がある」ということを示した内容といえます。