文献・臨床

クリルオイル、魚油、アスタキサンチンの胃潰瘍に対する保護効果

クリルオイル、魚油、アスタキサンチンの胃潰瘍に対する保護効果

胃潰瘍の治療に関する研究はこれまで多く行われてきましたが、それでもなお、安全で効果的な新しい予防・治療方法が求められています。そこでこの研究では、クリルオイル、魚油、アスタキサンチンという3つの成分が、胃潰瘍にどのような影響を与えるのかを比較しました。

実験では、ラットを4つのグループに分け、通常の餌だけを与えるグループと、クリルオイル、魚油、アスタキサンチンをそれぞれ毎日摂取させるグループを用意しました。これらのサプリメントを4週間与えた後、ラットの胃に潰瘍を起こさせ、そのダメージの程度を調べたところ、胃の中で「酸化ストレス」と呼ばれるダメージが強くなっていました。これは体の中で活性酸素が増え、細胞が傷ついている状態を示しています。実際に、細胞が傷ついたときに増える物質や、炎症に関わる酵素の値が高くなり、逆に体を守る抗酸化物質は減っていました。

クリルオイル、魚油、アスタキサンチンを摂取したラットでは、こうした酸化ストレスの一部が抑えられていました。特に、活性酸素が作られる量は3つの成分すべてで減少していました。しかし、細胞の傷みや炎症の強さまでしっかり抑えられていたのは、アスタキサンチンを摂取したグループだけでした。

これらの結果から、クリルオイルと魚油には、活性酸素を抑えて胃を守る働きがあり、胃潰瘍のダメージを軽減する効果があることが分かりました。一方で、アスタキサンチンはそれに加えて、炎症を起こす細胞の集まりや細胞の酸化ダメージも抑えるため、胃潰瘍に対する保護効果がより高いことが示されました。

つまりこの研究は、脂質のサプリメントの中でも、特にアスタキサンチンが、アルコールによる胃のダメージから体を守る力が強い可能性があることを示した内容だと言えます。

 

Esra Tansu Sarıyer et,al「Comparison of Dietary Supplementation with Krill Oil, Fish Oil, and Astaxanthin on an Experimental Ethanol-Induced Gastric Ulcer Model: A Biochemical and Histological Study」Nutrients. 2024 Oct 10;16(20):3426.

Esra Tansu Sarıyer 1.2、Murat Baş 3、Hatice Çolak 4、Naziye Özkan Yenal 5、Özlem Unay Demirel 6、Meral Yüksel 7

1.アチバデム・メフメト・アリ・アイドゥンラー大学健康科学研究所栄養・食事学科、トルコ

2健康科学大学健康科学部栄養・食事学科、トルコ

3.アチバデム・メフメト・アリ・アイドゥンラー大学健康科学部栄養・食事学科、トルコ

4.ウスキュダル大学健康科学部栄養学科、トルコ

5.マルマラ大学健康関連サービス専門学校病理検査技術学科、トルコ

6.バチェシェヒル大学医学部、バチェシェヒル大学ギョズテペ・メディカルパーク病院中央研究所、医学生化学科、トルコ

7.マルマラ大学医療関連サービス専門学校医療検査技術学科、トルコ

抄録は自動翻訳によるものです。

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