健康に大事な成分

効率よく利用されるリン脂質型のオメガ3脂肪酸(2019-03-02)

効率よく利用されるリン脂質型のオメガ3脂肪酸

【続き】
この様な働きを乳化作用と言います。
リン脂質には親水性と疎水性の両方の性質があるのでさまざまなものが出入りする細胞膜の成分にはうってつけです。このほかにもリン脂質は体の中での脂肪の運搬や貯蔵、情報伝達などにも関わっています。

人間の体は約60兆個の細胞でできています。その細胞の一つ一つは細胞膜につつまれていて、そこにはリン脂質があります。つまりクリルオイルに含まれているDHAやEPAは体内のありとあらゆるところで使われているのです。

水にも油にもなじみやすいクリルオイルのオメガ3脂肪酸は、体内にすみやかに吸収されます。それはサプリメントを飲んだ瞬間、胃の中から始まっています。

魚油に含まれているトリグリセリド型のDHAやEPAは、水をはじく性質がありました。ですから、DHAやEPAは胃液の表面に浮かんでしまうのです。なかなか胃液と混ざらないので、このときにげっぷをすると魚の匂いがします。

一方クリルオイルのリン脂質型のDHAやEPAは水にもなじみやすい性質を持っています。ですからDHAやEPAはすぐに胃液になじんで速やかに消化吸収されます。リン脂質型のオメガ3脂肪酸は人間の体の中でどのくらい効率よく利用されるのかを調べるために様々な研究がおこなわれてきました。

肥満の男女76人に協力してもらい、この人達を3つのグループに分けました。1つ目のグループにはクリルオイル、2つ目のグループには魚油、3つ目のグループにはオリーブオイルを4週間飲んでもらいましたが、協力者たちには3種類のどのサプリメントを飲んでいるのかを知らせませんでした。

研究の結果、クリルオイルに含まれているリン脂質型のDHAやEPAは吸収効率が良く、体の中で効率よくつかわれる事がわかりました。

さらに少ない量(低用量)のリン脂質型のDHAやEPAと多い量(高用量)のトリグリセリド型のDHAやEPAを比べて、同じくらいの効果が得られるかどうかを調べました。

113人の人に協力してもらい、この人たちを3つのグループに分けました。1つ目のグループにはクリルオイル、2つ目のグループには魚油、3つ目のグループにはDHAやEPAを含んでいないものを7週間飲んでもらいましたが、協力者たちには3種類のうちどのサプリメントを飲んでいるのかを知らせませんでした。

研究の結果、クリルオイルに含まれている少量のリン脂質型のDHAやEPAは、魚油に含まれている多量のトリグリセリド型のDHAやEPAと同じくらいの効果をもたらす事がわかりました。つまりクリルオイルは少量でも効率よく利用され、体の中で効率よくつかわれる事がわかりました。

最近の研究で健康な人と肥満の人に協力してもらい、クリルオイル、魚油、オリーブオイルのいずれかを4週間飲んでもらい、協力者たちに血液検査を受けてもらいました。

研究の結果、血中の血漿(血液から赤血球などの細胞を除いた液体成分)に含まれているDHAやEPAが、クリルオイルを取っていた人は値が大きく増加していました。つまりここでもクリルオイルのDHAやEPAは、魚油のものよりも体の中で効率よくつかわれる事がわかりました。

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