健康に大事な成分

冷たい水中でも固まらないオメガ3脂肪酸(2019-02-09)

冷たい水中でも固まらないオメガ3脂肪酸

DHAやEPAは同じオメガ3脂肪酸ですが、もっと正式な名称は「n-3系高不飽和脂肪酸」といいます。名前は随分長いのですが要するにマグロや青魚に多く含まれている油で、常温では固まりにくい性質を持っています。

脂肪酸にはオメガ3のような不飽和脂肪酸というグループの他に、もう一つ飽和脂肪酸というグループがあります。こちらの代表格はバターやラードで、飽和脂肪酸は常温で固まるのが大きな特徴です。

さて、不飽和脂肪酸には「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」があります。脂肪酸の形がちょっとちがうのですが、一価不飽和脂肪酸の代表格は、オリーブオイルです。一方多価不飽和脂肪酸にはいくつもの種類がありますが、大きくオメガ3脂肪酸(n-3系)と、オメガ6脂肪酸(n-6系)に分かれます。

オメガ3脂肪酸の仲間は、魚油やクリルオイルに含まれているDHA、EPA。オメガ6脂肪酸の仲間は、コーンオイル、ゴマなどに含まれているリノール酸、アラキドン酸などです。

多くの脂肪酸がありますが、オメガ3脂肪酸を多く含んでいる油は常温では固まりにくい性質を持っています。マグロや青魚などが自由に泳ぎ回っているのは冷たい水中です。そこでもオメガ3脂肪酸は固まらないので泳ぐ事が出来るのです。

南極オキアミが生息しているのは、それよりもさらに冷たい南極の水中です。クリルオイルのオメガ3脂肪酸は魚油とは違う形をしているので、南極オキアミは氷点下の冷たい海の中を動き回れるのです。

オメガ3脂肪酸の一つ「DHA」は、脳や目に多く含まれている脂肪酸です。DHAが注目されるようになったのは、1989年に英国のマイケルクロフォード博士のおこなった発表がきっかけですから、それほど昔の事ではありません。

クロフォード博士は、日本の子供の知能指数が高いのは日本人が魚を多く食べてきたことに原因があるのかも知れない。日本人の母乳は欧米人に比べてDHAの含有量が高いので、このDHAこそが乳児の脳の発育に極めて重要である、と発表しました。

その後の研究で、DHAは「血液脳関門」というバリアを通過して脳に入る事が明らかになりました。脳は人間にとってとても大切な器官なので、血液脳関門という関所の様なものがあり、特別に許されたものしか能に入る事は出来ません。

DHAはその関所を超えて脳に入る事ができ、脳の働きに欠かせない成分だということが次第にわかってきました。またDHAは目にも多く含まれています。目で映像を映すスクリーンのような役割を果たしている網膜には、DHAが含まれています。正常な目の働きのためにも、DHAは欠かせない成分なのです。

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