クリルオイルはストレスが原因で起こるうつ病を改善する
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2024.08.20
脳内のオメガ3系脂肪酸の欠乏とうつ病の症状は密接に関連している。クリルオイルには、ホスファチジルコリンに取り込まれたオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれている。しかし、慢性ストレスによって誘発されるうつ様行動に対するクリルオイルの効果やその脳内分子メカニズムは、まだ十分に解明されていない。
そこで、マウスを用いてうつ様行動に対するクリルオイルの効果を評価した結果、クリルオイルよって軽度ストレス誘発性のうつ病様行動の改善が観察された。また、グリセロリン脂質とスフィンゴ脂質の代謝が軽度ストレスにより阻害されたが、クリルオイル摂取後に改善された。さらに解析をした結果、クリルオイル補給後に発現が異なっていた遺伝子は、主に膜構造と神経活性リガンド-受容体相互作用経路に多く存在しており、これが軽度ストレス誘発性うつ様行動の改善に関与している可能性があることがわかった。以上の結果より、脂質代謝と軽度ストレスの関係が明らかになり、クリルオイルがうつ病の予防と治療の新たな選択肢として加えられることが判明した。